中京大中京と浅田真央の「負け方」
昨日の安藤美姫先輩に続くことは出来なかった中京大中京ナイン。残念だったが、久々に「強い中京」を印象付けてくれた。選抜ベスト8は立派な成績だったと思うし、持てる力は存分に出したのではないだろうか。
9回表の土壇場に逆転を許した時は、さすがにがっくりときたが、不思議とショックが尾を引かない感じだった。堂林投手のピッチングからすれば、あのまま1点差で逃げ切れるとは思えなかったし、この試合での中京大中京の「負け方」にも十分、納得できたからだろう。
前評判の高かった打線は、まさに「看板に偽りなし」だった。特に3番河合、4番堂林の中軸のバッティングは素晴らしかった。磯村、森本、岩月ら2年生も良い働きをして、勢いを感じさせた。守備、走塁も良く鍛えられており、バランスの取れたレベルの高いチームだったと思う。
今日の報徳学園戦でも、随所にその力を見せてくれた。ショート山中の軽快な守備、各打者の鋭いスゥイング、クリーンナップの長打力、堂林投手の粘り強い丁寧なピッチング。余す事なく、評判どおりの実力を発揮してくれたと思う。
勝敗を分けたのは、ほんの少しだけ、報徳学園の選手達の「負けるもんか、勝ちたい!」という思いが中京大中京のそれを上回ったのではないか。
しかし夏に向けて、期待を持てる楽しみな活躍を見せてくれた。あえて課題を探すなら、得点をした後の、「もう1点」のチャンスをことごとく、活かせなかった事か。スクイズ、犠牲フライ、内野ゴロで取れた1点を取りきれなかった。これが後々、堂林投手を苦しめる事となった。この1点を確実に取りきるのが、かつての「中京野球」だったはず。ぜひ今のチームにもその良き伝統を継承してもらいたい。
また2番手投手の育成も急務だ。堂林投手はクレバーな好投手だが、猛暑で連戦が続く夏の大会を一人で投げぬくのは困難。強豪ひしめく愛知県予選突破すらままならない。欲を言えば、堂林を打者として専念させられるような状況が一番ベストだと思う。いずれにしても今日の「負け方」は夏に大きな期待を抱かせてくれた。
同じ中京大中京の浅田真央選手の「負け方」にも冷静に考えれば、十分、納得できるものだったと思う。来年に控えたバンクーバー五輪を見据えた難度の高いプログラムに果敢にチャレンジした今シーズン。この世界フィギュアの表彰台だけを目標に置くならば、安全策をとればそう難しくはなかっただろう。しかし目標を来年に置いて挑んだ今季、ここで2度の3Aを跳ばないのはおかしいし、攻めて挑戦するのは当然の事。その結果、8.2点のジャンプが転倒して1点になろうとも全く悲観する事はなく、筋の通った良いチャレンジだったと思う。
逆に安藤選手は、どうしてもこの大会で表彰台に登らなくてはいけなかった。ここ数年、怪我に泣き、表舞台から遠ざかっていただけに、五輪前にジャッジに「復活」を印象付ける事が重要だっただろう。それゆえに、彼女の代名詞の「4回転」も「3回転-3回転」も回避して得点を手堅く狙いにいった。表現力の向上も見逃せない。
金妍児選手にしても大技がないだけに、自分の持てる技量に完璧なまでに磨きをかけることにより、最大のライバル、浅田選手に対して出来るだけ多くのアドバンテージをとっておきたかった今シーズンだっただろう。彼女はそれに見事なほど成功してみせた。
それぞれが、それぞれの思いやゴールに向かい演じきった必死の舞が昨日の世界フィギュアの結果だったのだと思う。
それにしても浅田選手。常に優勝を期待されながらの、高難度への挑戦。相当、精神的にはつらかったのではないだろうか。お疲れ様と心から言いたい。
最後に日本のマスコミに。もういい加減、スポーツ中継にタレントも、下手な演出も必要ないことに気付くべきだろう。スポーツを録画放送するテレビ局の神経にはあきれるばかり。WBCの視聴率を見るまでもなく、スポーツはそれそのものがエンターテイメントであり、選手が主役だ。まして放送時間など関係ない。見たいものは早朝だろうが、昼だろうが、見るものだ。単なる一コンテンツとしての価値しか見出せないテレビ局には早々にスポーツ中継から撤退してもらいたいものだ。
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